ハローピラメイト epsode2 高梨剛さん(前編)

目的も楽しみ方も多様かつ、幅広い愛好者をもつクライミング。ハローピラメイトはそれぞれの楽しみ方でピラニアに通っておられるお客様を、スタッフとの対談を通じてその人となりをご紹介するコーナーです。

2022年最初のピラメイトは 高梨 剛(たかなし たけし)さん。
40代後半でジムの門戸を叩いてから着実に腕を磨かれて、現在では奥様と一緒に岩場でのクライミングも日常的に楽しまれています。

旺盛な好奇心の源や、ご夫婦でクライミングを楽しむライフスタイルについて詳しくお話をうかがいました。


ピラニアとの出会い

ハローピラメイト 高梨剛さん

(聞き手:山森)今、ご夫婦そろってピラニアに通われている方はそんなには多くないのですが、みなさん何年も継続されているところをみると、夫婦共通の趣味としてクライミングは良いところが沢山あるのでしょう。ピラニアとしても、ご家族でクライミングを愛好される方を増やしたいなと思ってます。さて、まずクラミングを始められたきっかけを教えてください。

(高梨)運動不足を解消したいっていうところから始まったんですけど、なぜクライミングだったかというと、歩くとかトレーニングジムに通うって単調すぎて絶対続かないなって。それだったら、登って1回ずつゴールがあるゲーム性があるものが欲しいなって思ったんです。

(山森)まぁ、単調さは全くないスポーツですもんね。そもそもクライミングをどうやって知ったんですか?

(高梨)6年くらい前かな、人気が出始めてテレビとかでもちょいちょい見いていて、子供の頃木登りが好きだったのもあってこりゃ楽しそうだなって。

(山森)その時は1人で来られたんでしたっけ?

(高梨)ひとりでした。石和店で。

(山森)その日の奥さんの反応はどんな風でした?

(高梨)「いいんじゃない。私は興味ないけどね。」という感じでした(苦笑)

(山森)ははは、めちゃそっけないですね(笑) 初めて石和店に来た時の印象って覚えてますか?

(高梨)入り口狭いじゃないですか(笑) 石和店はオープンな感じが全然なくて、11月の終わりに寒いしシャッターも閉まってるし、本当にやってるのか?っていう感じで入って。でも、やってみた印象としては、期待外れでも期待以上でも無くて、とにかくやってみないと分かんないなぁって思いました。たぶん初めて行った時(の対応)は山森さんでした。

(山森)そうでしたか。僕はどんなでした?

(高梨)なんか怖い人が人がいるなぁと思って。あはははは(笑)


懸垂なんか1回もできないところから始めてます

ハローピラメイト 高梨剛さん

(山森)さて、昔のことはこれくらいにして、今のことをお聞きしたいと思います。今どれくらいの頻度でジムを利用されてますか?

(高梨)だいたい週に3日は登ってて、日・水・金曜。天気が良い日は外(岩場)にクライミングに行って、天気が悪い日はジムかな。

(山森)石和店と南アルプス店の両方でお見かけしますけど、使い分けはどんな感じなんですか?

(高梨)リードしたい時、クラックもやりたい時は石和店に行きますね。そうじゃなくても、ボルダリングだって課題の質とかホールドが(石和店と南アルプス店で)全然違うんで、どっちかに偏るのも面白くないと思って、どっちも行ってます。

(山森)なんか嬉しいなぁ。あえて店ごとに個性をハッキリ打ち出そうとしてるんで、高梨さんみたいに店の特性を分かって全店パスをうまく使うお客さんが増えたらいいなと思ってます。ちなみに、クライミングを始める前に何か趣味はあったんですか?

(高梨)ありました。車のレースなんですけど、これはちょっと内緒にしておきたいなぁ…

(山森)まあまあ、せっかくなんで教えてくださいよ(笑)。その趣味を続けるということはしなかったんですか?

(高梨)いや続けるつもりではいました。もともとは体幹トレーニングみたいなつもりが、体の芯がしっかりしてないと車も早く動かせないって分かってきて、ちょっと飽きてきてたんですよね前の趣味に。で、身体を鍛えればもうちょっと楽に運転できるかなと思ってクライミングを始めたんですけど、そしたらだんだん車の趣味が疎かになって、結局クライミングオンリーになっちゃいましたね。

(山森)レースって言っても、ちゃんと教えてくれる人がいるですよね?

(高梨)いますいます。大半が現役のレーサーですね。いきなりコースに出るんじゃなくて、だだっ広い駐車場みたいなところでひたすら楕円走行する、みたいな。でもそれだけでも凄く疲れるんですけどね。

(山森)そうなんだ!こう足とか踏ん張ってなきゃいけない?

(高梨)そうです、踏ん張るし首も持ってかれるし、次の日はめっちゃ筋肉痛ですよ。

(山森)上手になった次はコースに出るとか?

(高梨)もちろんコースをぐるぐる走って楽しむのもあるんだけど、レースもやってみようかなと思ってやってました。

(山森)なるほどー。今、体幹の話が出ましたけど、僕のボルゼミの時に筋トレ回あったじゃないですか。あの時高梨さんは確か片足フロントレバーがすぐできちゃったのを覚えてます。芯の筋力が強いなぁと思ったんですけど、それはボルダリングで培ったというよりも下地としてレー…

(高梨)いやいやいやボルダリングです(キッパリ)クライミングを始めた時はもう筋力なんか全然無くてヘニャヘニャで、そもそも懸垂だって1回もできないところから始めてますから。

(山森)え? そうなんですか。 今はどれくらいできます?

(高梨)普通の懸垂は15回とかできるんじゃないかなと思います。20回はいかないかな。

(山森)すごい。それは立派だと思います。トレーニングメニューも自分なりに作ってたりするんですか?

(高梨)いや、そこまでしてないですよ。時々懸垂したり、その程度。


夫婦でクライミングにハマる

高梨剛さん

(山森)ま、できるようになると何でも楽しくなりますからね。そうして、だんだんと面白くなってきたタイミングで奥さんも誘われたと思うんですけど…

(高梨)僕ね、誘ってないんですよ。妻から「面白い?」って聞かれて「おもしろいよー」って、それだけ。たぶん僕が楽しそうにしてたんでしょうね。それで「私も行ってみようかな」って。でも正直、続かないだろうなぁとは思ってたんですけど、なんだか結構頑張って、結局ふたりとも続けてますね。

(山森)そうは言っても奥さん最初は面食らわれたんじゃないんですか?

(高梨)まず「本当に来んの?」と思いましたよね、やっぱり。でも、妻はもともと運動神経悪い方じゃないみたいで、若い頃は陸上やってたりしたし、身体を動かしたいってのはあったみたいです。2人でこんなにハマるとは思ってなかったですが。

(山森)こういう遊びにハマる素養をふたりともお持ちだったんでしょう(笑)
先ほどの話の中でレースは当然のように教わる、教わらないとできないと言われました。スポーツはほとんどそうだと思うんですけど、教わることで効率よくどんどん次の世界が見えてくる感覚がありますよね。基礎から学ぶこともすごく大事だし。これってあたり前だと思うんですけど、ことクライミングに関しては(一般的に)教わるものという印象が無いように思います。最初ルールだけ聞いて、後は適当にやってれば上手になれると思われてる節がある。でも実際はそんな簡単なもんじゃないですよね。
その結果キャリアは長年あるんだけど今ひとつ上手になりきれず、自分の伸びしろがまだ有ることに気づいてない人も多いと思うんですね。


高梨さんは積極的にセミナーとかスクール出ておられたり、教えられたことをどんどん自分の糧にして上達していく、そんな姿勢で続けられているように思いますが、それには何か理由やこだわりがあるんでしょうか?

(高梨)うーん、やっぱり教わんないと上手くはなれない。単純にそういうことだと思います。
僕はそんなに運動神経がいい方じゃないし、やっぱり最初の頃に参加したボルゼミで行くたびに新たな発見があったんですよ。「こう動くといいよ」「こう持つといいよ」ってのが面白くて。

なんて言ったらいいかな。答えをもらうじゃないけど、解き方を教わるか!問題の解き方を教わるっていうその楽しさがあって、それをちゃんと自分の体に落とし込めれば自分もどんどん上達していくし。

クライミングを始めて)最初の数回は「なかなか難しいな」って思ったり、8級くらいでもうまく登れなかったりで。でもボルゼミに出始めてから「なるほどね」って。論理的に体の位置がどうとか「物理」じゃないですか。その法則に従うんだなって分かってきたし、体+頭脳プレイですごく面白いなぁって。

(山森)その来られた時は40代後半、でしたよね?

(高梨)46でした。

(山森)なるほど。じゃあ肉体的にはほっとくと衰えていくっていうタイミングですね。何か始める時に我々のアドバイスとが少しはお役に立ったと。

(高梨)少しどころじゃないですよ!あれがなかったら続けてなかったと思いますよ。僕自身の性格としていつまでも同じところに留まっていると面白くないし。

(山森)ドキッです。

(高梨)誰でもそうだと思いますけど、力ってすぐに身につかないじゃないですか。だけどコツを知ることで効率よく成長していけるっていうのが楽しくて。単純にそれですよね。ちゃんと分かってて教えてもらえる訳だし。

(山森)分かってるかどうかは…(笑)

(高梨)いやいやいや(笑)


始まりは好奇心だけ そこから広げていく感じ

ハローピラメイト 高梨剛さん

(山森)その後は数年をかけて岩場でのクラッククライミングにまで遊びの範囲が拡大していきますよね。ステップアップしていく時にはどんな希望とか展望があったんでしょう? 明確な大きな目標があったんでしょうか?

(高梨)新しいものに触れてみたいっていう好奇心ですね。目標があって始めることは、よくよく考えるとあまりないと思います。やってみるうちに「ああなりたい」「こうしたい」とは思うけど、始まりはもう好奇心だけ。そこから広げていく感じかな。

(山森)僕にはそうは見えなくて、もっと長期的な目標があるんだと思ってました。

(高梨)歳をとったらボルダリングよりリードの方が長く続けられるよってことは頭の片隅にあって、リードはちゃんとやりたいというのはありましたね。どうせだったら長く続けたいけど、ボルダリングはどっかで限界がくるだろうと。そういう意思はありました。

(山森)好奇心でやってみたら深さ・面白さが分かってそれをまた追求していって続けていく。その中で新しいものに触れて、それでまたどんどん深くやっていくのが高梨流だと。

(高梨)やるからにはちゃんとやって上達したいですよ。性格的にも。

(山森)「ゆるいの」と「ガチ」だとガチ派だと?

(高梨)絶対そう。

(山森)(笑)


後編では高梨さんの日常に話を戻し、夫婦でクライミングを続ける楽しさや秘訣について。また、クライミングライフが心と体の健康に及ぼした効能や、今後の展望などについてお聞きしました。

後編もどうぞお楽しみに。

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