シュテファン・グロバッツ スライド&トークショーが終わりました。
たくさんの方のご参加、また遠方から駆けつけていただいた方もありがとうございました。
ショーでは彼自身が編集した写真やムービーを約80分にわたって見ることができたのですが、ショーの最中から今すぐ旅をしたくなってしまうような不思議な感覚にとらわれたのは僕だけではないはず。 好奇心、冒険心、開拓心といった人間の持つ本質的な行動欲求を刺激されるような、味わい深いものだったと思います。
シュテファンの冒険的なクライミングの記録は、全くもってクレイジーな一面をもちながら、それぞれが明確なコンセプトがありました。
例えば数百キロに及ぶアプローチから登攀、帰還まで全てを人力で達成することで、テクノロジーとそれによってもたらされる日常の便利さを再認識するというコンセプト。
かと思えば、世界で最も巨大な石灰岩の縦穴を舞台に、クリス・シャーマと共に十数ピッチわたるルートを築くという破格のスケールのクライミングに挑戦するという試み。
そのどれもが困難で楽しむどころか苦しみながらも、最後はやりとげたことの喜びが、彼の表情や言葉の端々から伝わってきました。
四半世紀も昔、彼はフリークライミングの最前線を走りながら、世界一を決するコンペでも何度も栄光を手にした若く強いクライマーでした。
しかしいつまでもその栄光にしがみつくことなく、次々と未知の世界の探求と、新しい価値観の創造に挑戦する彼の生きざまに、私は同じクライマーとして深く感銘を受けました。
クライミングを通して広い世界とつながること。そしてクライマーであれば、誰でもそれは可能なのだということを私たちに伝えてくれたことは間違いありません。
またショーのラストで、ピラニアの若いクライマーに向けていただいたアドバイスは、今後ずっと心に残るだろう素晴らしい話だったと思います。
はい、で、ショーの後はすっかりシュテファンに心酔された皆さんによるサイン攻め(笑)
中には20年以上前の貴重な写真をお持ちになって、そこにサインをねだる熱烈なグロバッツファンの方もおられました。
そういう私も写真集"Rocks around the world"にしっかりサインをいただきました。(嬉)
さらに付け加えると、日本初の5.14aとなった彼のルート「Ninja」を登っている千葉さんもご来場いただいて、個人的にはとても嬉しかったです。
さて、イベントではシュテファン自身がデザイナーを務めるレッドチリの新作シューズの試履き会も盛況でした。
オレンジ色のアトミックは今時のスポーティなボルダリングに完全対応するモデル。
今までのレッドチリにはなかったソフトなはき心地と、全方向フック可能な機能的な一足です。これはBuy!です。
ブルーのアンプは、信じられないほど快適なスリッパで、ジムで何時間も登る人に最適な設計がされています。
もちろん基本性能はきっちり押さえてあるので、正直かなり使えるモデルにしあがっています。個人的にはこれもBuy!
いずれも、レッドチリ初となるビブラムラバーが採用されており、それだけでも本気度が伝わってきますね。
入荷はこの秋を予定していますので、昨日試履きできなかった方もぜひご期待いただきたいと思います。
さあ、シュテファンは帰ってしまいましたが、彼にもらった刺激とこのやる気エナジーで、今度は私たちが動き出す番です。
地球の裏側まで登りにいかないとしても、今まで以上に情熱をもってクライミングを楽しもうじゃありませんか!
最後になりますが、この貴重な機会を与えてくださった株式会社モンベルの皆様に、厚く御礼申し上げます。
人生において、そう頻繁にあるわけではないこうした機会はまさに一期一会。クライマーとして本当に貴重な体験になりました。
本当にありがとうございました。