11月5日(月)、石和店の定休日を利用してロープワーク講習会を開催しました。
ショートルートの岩場を想定して、そこで安全に登るために最低限必要な心得とロープワークについて学んでいただきました。
当初は受講者が集まるか一抹の不安があったのですが、ふたを開けてみると定員一杯の申込があり、岩場に行き始めた、もしくこれから行ってみようと思われている方の安全に対する関心が予想以上に高いことをうかがわせました。
みなさん、講師の岡田 康さんの話食い入るように聴いています。
この後実技でもみっちり学んでいただいて、さらに応用技術も岡田さんに教えていただきました。
1.5時間の予定を大幅に延長しての講習会となりましたが、全てマスターすることはやはり実践を通じて会得するのが近道。
実技講習で使用した終了点などはしばらくそのまま設置しておきますので、忘れないうちに復習をしてみてくださいね。
さて現在、日本中のクライミングエリアで様々な問題が起こっています。
リードでもボルダリングでもメジャーな岩場に行くと、安全技術が未熟なクライマーが背筋が凍るような危険な行為を、それと知らずに行なっていることを目撃することがあります。
残置終了点を使用してのトップロープや、だらりんビレイ、落石がある岩場の基部での昼寝など、例を挙げ出すと枚挙にいとまがありません。
山梨県の幾つかのスポーツルートエリアは「初級者向き」と紹介されることがよくあり、特にそうした未熟なクライマーが多いのも特徴です。
しかし、初級者向けの岩場とは、いったいどんな岩場でしょう?
もし中間支点や終了点がしっかり整備されていることが、すなわち安全で初心者向きというのなら、それは安全を履き違えていると言わざるを得ません。
なぜなら、たとえ終了点がしっかりしていてもそれを使いこなす知識を持ち合せていなかったり、中間支点のボルトが高い強度であっても、ビレイ技術が未熟であれば、たちまち危険な状況が発生してしまうからです。
つまり安全と危険は、岩場の物理的な状態だけではなく、クライマーの側にその鍵があるのです。
ここで知っておかなければならないのは、安全技術というのは昔からこうだと決まっていた事柄ではなく、必要だと思った先人達が考え、工夫して編み出してきたことだということです。
もしあなたが何も知らないとしても、岩を安全に登る必要に迫られたのなら、真剣に考え、何かしらの方法や道具を創りだすはずです。しかしそれは、もしかしたら検証に耐えない危険なものかもしれない。
それが安全なものかの検証を経て確立されたものが、現在ある技術ということなのです。
よって、自分で考えることをしないクライマーは、たとえ岩や支点がしっかりしていて、落石のない岩場であっても危険です。いや、考えない人は岩場でクライミングをするのは無理です。
「私は何も知らないから、良く岩場に行っているAさんとかBさんにくっついて、ノホホンと岩登りを楽しみたい。」とか思っている方がいたら、そういう考えはさっさと捨てたほうが身のためです。
僕が安全を考える上で最も必要だと思っていること。それは思考力と想像力です。
常に自分で考える。そして想像する。
それで本当に大丈夫なのか? 他に何か手段はないのか? もしこのままだったらどうなるのか?
全てにおいて考え、想像しながらながら行動することが、何よりもクライマーに安全をもたらします。
また安全だけではなく、アクセス問題、モラルとマナーの問題、全てに通じる考え方です。
今回はロープワークという安全技術に的を絞っだスクールだったわけですが、この思考も本当に伝えたいことのひとつでもありましたので、ピラブログでも書かせてもらいました。
長文読んでいただきありがとうございました。
さて、いろいろ書きましたが、今後ピラニアではこうした技術系スクールを幾つか企画しています。
そのひとつ、題してヒモゼミは近日発表の予定です。
チラリとその内容をお教えしますと、室井先生によるオタクなクライミング座学なんかもあり、乞うご期待であります。